バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3(1990/米)

1990年 11月 記
     

 時代遅れって?!…鑑想記#049

 ≪吉祥寺スカラ座≫…ロビーで、彼氏に連れて来られたか?彼女は「今ごろ見るなんて、時代おくれよ」。

 時代遅れは言い過ぎだが、年甲斐もなくという点からいうと、今ごろでないとじっくり落ち着いて観ることができない。周りに子供がいっぱい というのでは困るのだ。というわけで、今ごろ『バック・トゥ・ザ・フューチャー 3』。観る前に、話の大筋はわかってしまっているのだが(そのくらい話題になったというわけだ)、 パート1・2をいずれもビデオで観て、劇場で完結するというのも筋は通っている(何の筋だろ)。とにかく、こんなものはまとめて一気に観てしまおう。さすがに客は少ない。 そりゃそうだ、何しろもう何週目かわからない程で、しかも平日の四時半、これで混んでいたら、まさに怪物だ。もっとも封切直後でさえ、この程度の入りという作品はよくある。 そんなものばかり選って観てきたわけではないが、これはやはり“お化け映画”に入れるべきだろう。

 人気ファミコン・ゲームの如き売れ方で、偏に、子供たちのお蔭と言わざるを得ないだろう。思えば子供たちがこの映画にうつつをぬかしていた隙に、 我々はうるさい連中に邪魔されることなく好むところを存分に愉しむことができたわけで、感謝すべきかもしれない。常にこういう作品が一つくらいあった方が、 何かと便利ということだろうか。

 内容などはもうどうでも宜しい。しかし、それにしても、明るい切符売り場で“今ごろ”この映画のチケットを買う己が身を思うと、少々恥ずかしい気もした。 “今ごろ”、“平日”、そして“おじさん”とくれば、これはやはり相当に恥ずかしい。

 コマーシャルに続いて予告篇。ウォーレン・ビーティの『ディック・トレーシー』は愉しみだ。何だかうるさいカップルが居る。講釈が始まっているのかもしれない。 パート1やら、2やら、ごちゃごちゃと混乱のうちにスタート。パート2が全篇予告篇となっているということで、プロローグなしで、いきなり話はクライマックス。 まさに何でもありのやり放題。

 1985年にドク(クリストファー・ロイド)が飼っていた犬がアインシュタイン、そして1955年に飼っていたのがコペルニクス、ギャグだね・・・

 「部品は日本製」とドク。「日本製は最高さ」とマーティ、興業を意識してのことか、そんなに気を遣わなくても、とも思う。決闘のシーンは 『荒野の用心棒』、また、マーティ(マイケル・J・フォックス)の「Make My Day(遠慮は無用)」は同じく『タイトロープ』、クリント・イーストウッドから頂戴したもの、許可は取ったのだろうか。

 マーティに励まされ、たしなめられつつも、結局は、ドクが恋と、科学者としての分別の両方を手にするのはいかにもアメリカ的であった。

 いずれにせよ、これでシリーズも完結、終わって良かった、まずはめでたし、めでたし・・・

 ロバート・ゼメキス監督作品