新宿ヴィレッジ2 日本ヘラルド映画配給 1時間43分…鑑想記#083
まごまごしていたら、最終日になってしまった。いつの間にかスカラ座からヴィレッジなどという半端な劇場に移ってしまっていた。 しかもあの『ランボー』に追い遣られるかたちで…。そのあたりの事情は理解できるところだが、やはりそれでも情けない。予告篇には『敦煌』に『ウィロー』、 入るんだろうなあ、きっと…。
アメリカ・ニュージャージー。殺される理由などどうでもよろしい。要は殺されるべき人物が殺されて初めてストーリーは展開するのであって、 導入部を詰まらないといっても始まらないのだが、如何せん何の工夫も面白さもない、誰にでもできるだろうこのくらいのことなら。
トリエステ。ところがローレン・バコールの登場で俄然画面は締まってくる。但し彼女以外はいずれも役不足かあるいは玉不足。 とりわけキャリー・フィッシャーにデビッド・ソール、詰まらない役者である、邪魔でしかたなかった。
地中海上。船酔いのポアロ、彼の滑稽さはどうにもうんざり、アルバート・フィニーが懐かしい、ピーター・ユスチノフもいいことはいいんだ、 ただあまりにはまり役過ぎて立っているだけ、せっかくの名優ももっと芝居をして欲しいところ。またジョン・ギールガッドもさすがにお年で、おじいさんの印象以外にない。
【ポアロの台詞から】名探偵の条件として。
「人は知っていることを話したがる」
「話を聞けば真実がわかる」
「そして私は話を聞く達人なのだ」
何はともあれ、この類の作品はとにかく出来上がって見せてくれればそれでよろしい。上映途中で出て行った若い女性、詰まらなかったか、 それとももしこのミステリーを前回の途中から見ていたのだとしたら酷過ぎるではないか。いびきも聞こえる、ふざけたおやじだ。
製作・監督:マイケル・ウィナー 原作:アガサ・クリスティ『死との約束』 音楽:ビノ・ドナジオ 撮影:デビッド・ガーフィンケル 衣裳:ジョン・ブルームフィールド