タイトル |
シャンプー[1975/上映時間:1時間50分] | |||
監督 |
ハル・アシュビー | ジョージ | ウォーレン・ビーティ | |
製作 | ウォーレン・ビーティ | ジャッキー | ジュリー・クリスティ | |
音楽 | ポール・サイモン | ジル | ゴールディ・ホーン | |
製作国 | 米 | フェリシア | リー・グラント |
アメリカン・ ニューシネマの先駆作となった「俺たちに明日はない」を製作・主演したウォーレン・ビーティが、「チャイナタウン」で アカデミー脚本賞を獲得したロバート・タウンと共同でオリジナル・シナリオを書いて一人三役。一種の風俗映画である ことは事実だが、そのムードをたのしむのも結構、またストーリーを追うのもいい。ファッションを見るのもいいが、 全篇にあふれる映倫許可範囲ギリギリのキワドイ会話もたのしめる。
出演は、リストの他に、「12人の怒れる男」「地上より永遠に」などのジャック・ウォーデン、「スティング」の プロデューサーであるトニー・ビルが俳優として出演している。「ローズマリーの赤ちゃん」のプロデューサー、 ウィリアム・キャッスル、「裸のランナー」の製作者ブラッド・デクスターという異色の顔がならぶ。またポルノ女優 シャロン・ケリーが出ているのも話題。
この映画、キャスト、スタッフにアカデミー賞受賞関係者を網羅しているのも話題のひとつだが、監督のハル・アシュビー は編集者出身で、「夜の大捜査線」の編集でオスカーを手にし、監督に進出して「少年は虹を渡る」などで注目を集めて いる若手の演出家。美術は「バージニア・ウルフなんかこわくない」でオスカーを獲得したリチャード・シルバート。 撮影は「イージー・ライダー」のラズロ・コバックス。
音楽は「卒業」や「コンドルは飛んでいく」のサイモンとガーファンクルのポール・サイモン。衣裳は「愛の狩人」 「チャイナタウン」のアンシア・シルバートと、アメリカ映画界の最精鋭たちが結集されている。[原題「シャンプー」 ・6巻・3017m・1時間50分]
ビバリーヒルズのたたずまいは、おだやかで静かだが、ここは、金と時間をもてあましている女たちの欲望の 園でもある。彼女たちの関心事は、おしゃれと男だ。そんな意味からいえば、男性ヘア・ドレッサーなどは、欲望を 満たしてくれる一番手近で、しかも都合のよい相手である。一方彼らにしても、そうしたご婦人方はセックスと金の 両方を手に入れる格好のお相手であるに違いない。
彼女たちに「グレート!」とため息をつかせているジョージ(ウォーレン・ビーティ)は、なかでもピカイチの ヘア・ドレッサーである、いろんな意味で。だから時には、いや、しばしば危ない目にあう。だが、心の中ではこんな 生活にイヤ気がさしはじめていることも事実だった。とはいうものの、ジョージが今の仕事を選んだ理由は、こういう 生活を望んだからだったのだが・・・。
しかし、ジョージはこのところ、独立して自分の店を早く持ちたいと思う気持ちを抑えきれなくなっている。 お得意様フェリシア夫人は、夫のレスター(ジャック・ウォーデン)がスポンサーになって出資してくれるかも しれないと、夫を紹介してくれることになった。一方ガールフレンドのジル(ゴールディ・ホーン)は夫人の存在を 知って気分が滅入ってしまうのだった。
《略》
行き場のなくなったジョージは、ジャッキー(ジュリー・クリスティ)のもとへ急いだが、昨夜あれほど
までに燃えていたジャッキーは憐れむような眼で彼を見つめた。「レスターと結婚して旅に出るワ」 女なんて「ファック
が好きな生殖器」と豪語していた彼を取り巻く女は1人もいなかった。妻と別れ、うわべをつくろうことをやめ、自分に
正直に生きる道を選んだレスターと、そしてジャッキー。
邸宅街を見おろせる小高い丘の上でジャッキーとレスターを乗せたロールスロイスが靄の中へ消えて行くのを眺め ながら、青春の終わりと、人生のむなしさを、ジョージはしみじみとかしめていた。
ウォーレン・ビーティ
製作、脚本、主演(ジョージ)
出演作品を選べる映画スター、その作品を選びわける才能を
持つ映画スターのひとり。とりわけアメリカ本国では、選択眼の確かさで知られる。
映画デビューは「草原の輝き」(60)だが
なんといっても「俺たちに明日はない」、ここでは本作品と同様にプロデューサーをやってのけている。
ジュリー・クリスティー
ジャッキー
1940年4月14日インドのアッサム生まれ。
自由奔放な現代女性を演じる他、ドラマチックな役もみごとにこなす大女優。
「ダーリング」(64)でオスカー主演女優賞。「ドクトル・ジバゴ」のヒロイン、ラーラ。「華氏451」
「遥か群集を離れて」(67)。「華やかな情事」(68)、「恋」「ギャンブラー」(71)など。
ゴールディ・ホーン
ジル
1945年11月21日ワシントンD.C.生まれ
喜劇が得意で、デビュー作「サボテンの花」では大女優イングリッド・バーグマンを完全に食って、アカデミー助演女優賞に輝く。
「サボテンの花」(69)、「バンクジャック」(72)、「バタフライはフリー」(73)、「続・激突!カージャック」(74)など。
リー・グラント フェリシア
「探偵物語」「夜の大捜査線」
ジャック・ウォーデン レスター
「12人の怒れる男」「地上より永遠に」
キャリー・フィッシャー ローラ
ハル・アシュビー
監督
1939年生まれ
ハリウッドでは台本の印刷係として下積み生活を送ったが、編集技術を身につけ、ノーマン・ジュイソン監督に認められ
「シンシナティ・キッド」「華麗なる賭け」「アメリカ上陸作戦」「夜の大捜査線」(アカデミー編集賞)とジュイソン作品の
編集を手がけ、ジュイソン製作の「真夜中の青春」(70)で監督デビュー。他に「少年は虹を渡る」(72)
数多くの有名スターや著名なお金持ちが集まっているハリウッドのビバリー・ヒルズ。そこのかなりのビューティ・ サロンに働くセクシーな男性ヘア・ドレッサーと、彼を取り巻くさまざまな女性たちとのラブ・プレイ。