タイトル 
ラスト・ワルツ[1978/米/116分]
製作 
ロビー・ロバートソン   編集 イウ・バン・イー
監督 マーチン・スコシージ   総指揮 ジョナサン・タップリン
撮影監督 マイケル・チャップマン   コンサートP ビル・グレアム
デザイン ボリス・レビン   撮影 ラズロ・コバックス他

 1976年11月25日、感謝祭に沸くサンフランシスコにおいて、ロック史上空前ともいうべき一大コンサートが開かれた。 60年にロニー・ホーキンスのバックバンドとしてカナダのロック界にセンセーショナルなデビューを飾って以来、常に アメリカン・ロックの王道を歩んできたスーパーグループ、ザ・バンド。

 今後一切コンサート活動は行わないという名目で、名プロデューサー、ビル・グレアムによってプロモートされた ラスト・コンサート、題して『ラスト・ワルツ』がそれだ。16年間の総決算というだけで、ロックファン注文のビッグ イベントだが、豪華なゲストミュージシャンも注目。

 ボブ・ディラン、ロニー・ホーキンス、ニール・ヤング、ポール・バターフィールド、エリック・クラプトン、 バン・モリソン、ニール・ダイアモンド、ドクター・ジョン、マディ・ウォータースらザ・バンドゆかりの西海岸を 代表するスーパーミュージシャンたちが挙って参集した。

 この作品は、熱狂と興奮のコンサートの全容を、『タクシー・ドライバー』のマーチン・スコシージ監督が ロックファン垂涎の傑作ドキュメントに仕立て上げた。空前の豪華ゲストの登場と、“半通俗”に徹したある種の知性を 感じさせるロック映画に仕上がっている。

 嵐の60年代に活動を開始した1つのロックグループの足跡を辿ることによって60年代から70年代への歴史的 コメンタリーとなっている。さらに、これもロック映画としては空前の大撮影隊が組まれたこと。また、サウンド面では ロック映画史上初の24本トラック録音という大掛かりな装置が会場の熱気と興奮をクリアに伝えている。

 ロビー・ロバートソン、リヴォン・ヘルム、リック・ダンコ、ガース・ハドスン、リチャード・マニュエル、 グループ結成以来16年もの長きにわたって不動のメンバーによって活動を続けてきた。『ザ・バンド』。

 1976年11月25日、桑港のウィンターランドで『ラスト・ワルツ』と題されて開催されたザ・バンドのフェアウエル ・コンサート。この映画はその全貌を伝える歴史的な記念映画に他ならない。この会場はメンバーにとってグループとして デビュー・コンサートを行った場所だ。

 このコンサートには『ザ・バンド』がいかに素晴らしいグループだったかを裏付ける豪傑なゲストミュージシャン が登場して、想像以上の興奮をかきたてる。その全てのミュージシャンが『ザ・バンド』の16年間の歴史の中で重要な 関わりあいをもっていた仲間だった。

 この一大イベントの模様はオリジナル・サウンドトラック盤として、スタジオで新たにレコーディングされた数曲を 加えて『ラスト・ワルツ』となって発表されたが、映画ではより生々しいメンバーの語りが随所にちりばめられていて、 それが本音のリアリティある言葉ゆえに胸を打つ。

 16年間というグループの活動にピリオドを打ったこのイベントの偉大さは、あの『ウッド・ストック』、『バングラデシュ』、 『フォルモア最後の日』とならんで、それ以上の熱気を噴出させているといっていい。その全てはフィナーレの幕が おりた後の感動の余韻が物語っている。

ポール・バターフィールド
ゲスト・ミュージシャン
 シカゴ生まれ。60年代中頃から70年代にかけて人気を呼んだホワイト・ ブルースの先駆者。

エリック・クラプトン
ゲスト・ミュージシャン
 1944年イギリスのリプリーに生まれる。16歳でギターを弾き始め、 ブルースの魅力に引かれ、ジェフ・ペック、ジミー・ペイジなどを生んだヤードバーズなどを経て、ソロで活動。「ホワイト ルーム」「サンシャイン・ラブ」など。

ニール・ダイアモンド
ゲスト・ミュージシャン
 医者になるためニューヨーク大学在学中、アルバイトで引き受けた作曲の 仕事が評判をとりポップス界にデビュー。

ボブ・ディラン
ゲスト・ミュージシャン
1941年5月24日ミネソタ州ダラス生まれ。ミネソタ大学卒業後音楽活動 開始。反体制、反戦的スピリットで次々ヒット曲を生み出し、一躍時代の寵児となった。ペキンパー監督の「ビリー・ザ・キッド」 では役者としての資質も発揮。77年脚本、監督、主演、音楽のワンマン映画「レナルドとクララ」を完成。78年初来日。

マーチン・スコシージ
監督
1942年ニューヨークに生まれ、リトル・イタリーで育った。ハイスクールを卒業後、僧籍に入る 予定を変更して、ニューヨーク大学の映画科へ進学。「アリスの恋」(74)、「タクシー・ドライバー」(75)、「ニューヨーク・ニューヨーク」(77)など。